帝国データバンクは2026年7月31日、「食品主要195社」価格改定動向調査― 2026年8月を公表しました(帝国データバンク 発表資料)。2026年8月に値上げが判明している飲食料品は2,311品目、平均値上げ率は月平均15%。前年同月(2025年8月)の1,262品目からは8割増という水準です。すでに9月には4,531品目の値上げが判明しています。結論:飲食店にとって、値上げは「価格を変える作業」ではなく「価格が載っている全ての場所を同期する作業」だという話です。
何が起きたか
帝国データバンクが2026年7月31日に公表した「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年8月によると、2026年8月に値上げが判明している飲食料品は2,311品目、平均値上げ率は月平均15%です。前年同月(2025年8月)の1,262品目と比べると8割増の水準になります。分野別では加工食品が1,419品目ともっとも多く、前年同月の188品目から約7倍に膨らんでいます。次いで調味料589品目、原材料276品目です。今後の判明分としては、9月にすでに4,531品目、10月に2,720品目(判明分)の値上げが控えています。2026年通年では、1〜11月の判明分だけで累計18,347品目に達し、2022年以降5年連続で年間1万品目を超える見通しです。値上げの要因は複数回答で、原材料高90.9%、物流費65.8%、包装・資材64.0%、中東情勢由来27.8%となっています。
なぜ重要か
値上げというと「メニューの数字を書き換える作業」だと捉えがちですが、実際にはもっと手間のかかる作業です。値上げは「価格を変える作業」ではなく、「価格が載っている全ての場所を同期する作業」だからです。日本語のメニューだけ直しても、英語・中国語・韓国語のメニュー、QRコードから開く多言語ページ、店頭の貼り紙、Googleビジネスプロフィールの料金表示、予約サイトの掲載価格は、直さない限り旧価格のまま残ります。
訪日客にとって、表示されていた価格と実際の請求額が違うことは、現場でもっとも揉めやすい事故のひとつです。しかもその場で外国語で事情を説明する羽目になり、これは単に気まずいだけでなく、対応するスタッフの時間を確実に食います。原価が上がって1品の値段を変えたつもりでも、実際に価格が掲示されている場所を数えると、日本語メニュー・多言語メニュー・QR先のページ・貼り紙・Googleビジネスプロフィール・予約サイトなど、5〜10箇所に上ることが珍しくありません。
今回の調査では、9月にさらに4,531品目という単月では最大級の波が来ることが判明しています。値上げが小刻みに複数回起きるほど、多言語側の更新はどうしても後回しになりやすく、取りこぼしが積み重なっていきます。逆に言えば、1回の値上げで漏れなく全箇所を直せる運用を作っておけば、次に来る波でも同じ手間で対応できるということです。
飲食店は何をすべきか
①価格の「掲示場所リスト」を先に作る
値上げを反映する前に、自店の価格がどこに載っているかを棚卸しします。日本語メニュー・多言語メニュー・QRから開くページ・店頭の貼り紙・Googleビジネスプロフィール・予約サイトなど、思っているより箇所は多いはずです。直す前に一覧化しておけば、直し漏れそのものが起きにくくなります。
②小刻みな改定をやめ、9月の波を見越して一度に・全言語同時に直す
9月に4,531品目という単月最大級の波が来ることがすでに分かっています。仕入れが上がるたびに都度メニューを直すのではなく、この波を見越してまとめて・全言語同時に改定する運用に切り替えることで、多言語側の取りこぼしを防げます。
③値上げの理由を1行で用意する(日本語+外国語)
理由を説明できる値上げは受け入れられやすい、という話はこちらの記事で書いた通りです。仕入れ値の上昇分を品目単位で把握し、「例えば」と明示したうえで、日本語と外国語の両方で1行の説明を用意しておきます。
(a) 訪日外客数、6月は前年同月比6.8%減で3カ月連続の前年割れ
日本政府観光局(JNTO)が2026年7月15日公表の推計値によると、2026年6月の訪日外客数は3,148,600人で前年同月比6.8%減。中国が57.3%減の34万700人と大きく落ち込む一方、韓国は78万7,100人(7.8%増)、台湾67万400人(14.6%増)、香港21万4,300人(28.5%増)、米国35万4,500人(2.7%増)と伸びています。上半期累計は21,084,800人でした。so what:客数が減る局面での値上げは、単価を上げても総額が落ちることがあります。客層の国籍構成も入れ替わっているため、どの言語のメニューが実際に読まれるかも変わってきます。(JNTO)
(b) 総務省が8月7日、6月の家計調査・消費者物価指数を公表予定
総務省統計局は8月7日に家計調査(6月分)と消費者物価指数を公表する予定です。so what:値上げを客がどう受け止めたかの実測が、翌日に出るということです。外食支出の動きを、自店の客数の推移と並べて見ておく日にしてください。(総務省 家計調査/消費者物価指数)
(c) 農水省「インバウンド拡大チーム」公募が受付中
農林水産省は2026年7月31日、食文化の海外展開・インバウンド拡大に取り組む外食事業者等の募集を公表しています。インバウンド拡大チームは第1期が2026年8月3日〜9月11日、第2期が9月24日〜10月30日。海外展開拡大チームは8月21日締切です。so what:単価を上げるには、その価値を説明できる状態であることが前提になります。その伴走支援の枠がまだ開いています(詳細は8/3の記事)。(農林水産省)
参考: 帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年8月」(2026年7月31日)
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260731-neage26y08/
参考: 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年6月推計値)」(2026年7月15日)
https://www.jnto.go.jp/news/press/20260715_monthly.html
参考: 農林水産省「食文化の海外展開・インバウンド拡大に取り組む外食事業者等の募集について」(2026年7月31日)
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/kikaku/260731.html

